うむむ、醍醐味だ。企画した人、気持ちいいだろうなあ。
「生命(いのち)と愛の未来を探る」というテーマで
古今東西のありとあらゆる生命に関するものが大集合。
薬のメーカーとして始まったウエルカム財団っていうところが
集めた様々な医学の進歩を示すものたちに、アートがからんでいく。
医学備品みたいなものが、まあいちいち面白い。
美しいかといえば微妙だけど、最先端の頭脳を使って
考えられた様々なものは、ある意味考え過ぎちゃっててグッとくる。
義足、義手は造形の極みだし(HONDAの最先端義足まで展示)
貞操帯なんかも徹底して操作性/装着性を考えた丸みがよい。
超巨大なふいごが人工呼吸器の役割を果たす(棺桶的ですらある)
こととか気づいた人はすごいと思うし。
ダヴィンチの肺とか心臓のデッサン、本当にすさまじい細密さで、
線にブレがなく、まっすぐと走っていくのは本物ならではの迫力。
わざわざイギリスの王室コレクションから上陸。
抜けると、骸骨が波をバックにたたずむ
円山応挙「波上白骨座禅図」が。やりたい放題。頭使わせる感じ。
手術は見せ物だった時代、シアターのような場所で解剖する様子を
描いた画がずらりと並んだのを見たあとに、
狩野一信「五百羅漢図 第59幅 神通」があり日本の神通力的な
ぼんやりした医学力を感じ、その先には、
デミアン・ハーストが妻の出産シーンを超リアルに描いた絵画が。
なんか血とか見えなくなったけど、その景色を写真とみまごうばかりの
絵画で見るという、考えちゃう人にはウハウハなコンセプト。
売れるわ、ハースト。あと、この人って普通に画が超うまい。
ジル・バルビエ「老人ホーム」というくだらないコントみたいな作品も。
歩行器使用のスーパーマン、立てないバッドマン、ぼけてガリガリの超人ハルク。
やりきることって大事なんだな。
老人の皮膚を持った、子どもがゲームボーイで遊んでいたりもする。
部屋の片隅で。パトリシア・ピッチニーニ作品。
すさまじい企画だなあと思ったのは、死の直前の顔と死の直後の顔を
写真で撮って並べた作品。ヴァルター・シェルスのもの。
死を悟った人たちのやわらかな表情と、そのつながりの中で感じる
死んだあとのやすらかな表情。生と死、その時間は切れているのか?
で、DNAの発見した人のなんとなくひらめいちゃったぞというメモも展示。
どうして、らせんだ!なんて思ったのか?本当にすごいことだ。
人間の飽くなき欲求は。果てしない。
ひたすらに頭を回転させて見る感じ。エクササイズとしてはよかった。
けど、これは美しいのか?