ずらりと並ぶ40個のスピーカー。
そこから流れる1573年に作られたトマス・タリスの
「我、汝の他に望みなし」。
それをつつむ、メゾン・エルメスのガラスボックス。
まあ、完璧。しかも、東京銀座という地場。さらに良。
たぶん、西洋のどこで見るよりも、よい。
場所が明確でない、普通はそんな聖歌など流れない場所に、
にせものの人間に模したスピーカーが尊い歌を、朗々と歌う。
しかも、ガラスからこぼれる光に、その声が見事に溶け合って
場所感とか時代感を一挙に飛び越える不思議体験だった。
40のスピーカーは、それぞれがひとりひとりのパートを
当てはめられていて、時折斉唱になったり、突然ハモッたり、
衣擦れの音だけになったりして、合唱の輪の中で体験した、
小中学校の気分の再現のようだなあとか一瞬思った。
のだけれど。
大間違い。そんなもんではない。
人間じゃないスピーカーが勝手にワーワー歌いはじめ
黙り、ボリュームをあげたりとかいうことがあると、
なんか神様に操られているような神々しい時間が
訪れるから、めったにない感覚だった。
なんだろう?すごく生命に囲まれているようでもあり、
一方、死体に抱かれているようでもあり、聖俗乱れて、
本当に聖地のようだった。
いやあ、音がまわる、ライトボックスはたまらない。
好きなんだなあ。
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