2009年5月29日金曜日

40声のモテット「ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー」@メゾン・エルメス

ずらりと並ぶ40個のスピーカー。

そこから流れる1573年に作られたトマス・タリスの

「我、汝の他に望みなし」。

それをつつむ、メゾン・エルメスのガラスボックス。

まあ、完璧。しかも、東京銀座という地場。さらに良。

たぶん、西洋のどこで見るよりも、よい。

場所が明確でない、普通はそんな聖歌など流れない場所に、

にせものの人間に模したスピーカーが尊い歌を、朗々と歌う。

しかも、ガラスからこぼれる光に、その声が見事に溶け合って

場所感とか時代感を一挙に飛び越える不思議体験だった。

40のスピーカーは、それぞれがひとりひとりのパートを

当てはめられていて、時折斉唱になったり、突然ハモッたり、

衣擦れの音だけになったりして、合唱の輪の中で体験した、

小中学校の気分の再現のようだなあとか一瞬思った。

のだけれど。

大間違い。そんなもんではない。

人間じゃないスピーカーが勝手にワーワー歌いはじめ

黙り、ボリュームをあげたりとかいうことがあると、

なんか神様に操られているような神々しい時間が

訪れるから、めったにない感覚だった。

なんだろう?すごく生命に囲まれているようでもあり、

一方、死体に抱かれているようでもあり、聖俗乱れて、

本当に聖地のようだった。

いやあ、音がまわる、ライトボックスはたまらない。

好きなんだなあ。

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