こんなに人間の感覚が麻痺しているのか?
もしくは、
こんなに人間の感覚というのは可能性に満ちているのか?
日常というものが、なにひとつ確かなことなどないことを
まざまざと感じさせてくれる出し物だった。
真っ暗な中を10人前後のパーティーで進んでいく。
それをアテンドするのは、視覚障害者の人。
驚くことに、彼らの真っ闇を動くスピードは半端ない。
ワープしたみたいに空間のあちこちに瞬間移動する。
というよりは、自分たちがまったく動けなくなる。
もう前後左右はもちろん、上下もあやしくなって
空間感覚というものが粉みじんに破壊される。
部屋のひろさもひろがりも失われる。
そんな100%まっくらな空間の中に
様々なテーマの世界がつくられている。
森を行き、川を行き、田舎の家をたずね、
バーで飲み物さえいただける。
そこで触った木の葉や幹の様子は、まったく別物。
生きていると感じる葉脈のもっこり感。
守っていく意志を感じる幹表面のごりごり感。
足の裏が生き返る不思議な感覚。歩くということは
地面と接することで、そこには楽しみがあると知る瞬間。
水とかゆらぐ音とかいいよねえとかいうけど
心底音だけ聞く体験すると、複雑に音がからみあっている。
ブランコとか乗ってみると、ちょっと無重力体験みたいだし、
家にある様々な電化製品も触りながら当てていくと
いかに機能に特化していて、しかも自然の中には
ありえないものを自分たちが作り出しているかがわかる。
なにせ、かたくて、冷たい。
石とかは不思議とちょっとあったかい感じ、残ってる。
プラスチックとは、ぜんぜん違うんだよねえ。
飲み物とか飲んでみると、身体に入っていく、
口の中で味がしみわたっていく感じって、
まさに全身で味わうみたいな生き返る雰囲気。
それにしてもすごい体験だった。
考えて形にした人、すごいわ!このイベント。
さらに、社会的なアプローチもよろしくて、
できるだけ恒久的に行うことで、視覚障害者の
安定的な雇用も目指しているらしい。
しかも、セカンドベストな職ではなくて、
みんながやりたがる誇りを持った仕事を作りだす
という。
うーん。いい企画だ。
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