こんな話。
ジャン=ドミニク(マチュー・アマルリック)は目覚める。
そこは病室。自分が脳梗塞で倒れ、
運び込まれたことを徐々に思い出す。
しかし、自分の言葉が通じない。
その上身体全体も動かない。
唯一、動くのは左眼のまぶただけになっていた。
つい先日までは、人生を謳歌し、
ELLEの編集者として活躍していたドミニク。
看護婦のサンドリーヌが彼の左まぶたが動くのに気づき、
次第に彼の希望は明日へと向かっていく。
そしてある日、編集者のクロードがやってきて、
ドミニクに自伝を書くように勧める――。
奇跡の実話を『バスキア』『夜になるまえに』の俊英、
ジュリアン・シュナーベルが完全映画化した
感動のドキュメント・ロマン。
生きることと生きていることは違うよなあと
しみじみと思う。追い込まれないと、なかなか
人生は開いていかない。だから厄介だ。
100%で生きているって、どういうことなのか?
大事なことってどういうことなのか?
今の自分のすべてを、懸命に生きていくことが
どれだけ価値があることなのか?
頭から生み出される世界の価値をまざまざと
感じることができる。人間は、想いを馳せることが
できるし、できている。本当にありがたい。
この瞬間に、誰かとともにいることの幸せとか
ちょっと前の瞬間に、話しいて笑うことの幸せとか
世の中には、失わないと分からないことが
あまりにも多すぎる。そんなことをいちいち
気づかされる映画だった。
なお切ないのは、自分の人生を語りきったあとに
すぐご本人が亡くなったという事実。
人はなにもかもをやり遂げると、きっと、
よろしくない結果が待っているのだ。
いくつもいくつも、静かな幸せ涙を流す。
ああ、本当に、今、生きているのは、幸せだ。
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