2009年5月9日土曜日

浸って沈み込むこと「マーク・ロスコ展」@川村記念美術館

「シーグラム絵画」と呼ばれる本来はひとつのレストラン空間に

飾られるはずだった壁画が、世界中から集められて一度に15枚を

見る事ができるという貴重な機会。

といっても、それほどマーク・ロスコがっつりはまったことがなく

ありがたみの実感は少ないんだけど、とにかく行ってみて、

感じてみようと決めた。

とにかくバカでかい赤っぽい、紫っぽい画が空間に配置されている。

「瞑想する絵画」というように、その空間に入ったところで、

さして気持ちがぐらつかない。うーむ。

でも、瞑想しなればと、結構長い時間いると、くるわくるわ。

さざ波のように自然の色が見えてくる。

本当にレストランに置いてあって、フルコースなんか食べたら

ちょっと感動する空間になったかもしれない。

夕日でもあり、朝日でもあり、血の色でもあり、

岩石の色でもある。ちょうどエアーズロックとかの真っ赤に染まる

感動的な瞬間にも似た激情も秘められている。

目の前にひろがる空間がどこまでも抜けていく

静かな静かな音のない景色の感動はなかなか味わえない。

やはり、セットで飾られるべきものが集まったときには

なんか計り知れない磁場を生み出したりするものだ。

海山十題のときも、伊藤若冲のときも思った。

そういうの好きだというのもある。

画家が考え抜いたプランに浸るのは、時間がかかるが、

すべてがパズルのように動き始めたときには

とんでもない感情の揺さぶりが隠されているケースが多いなあ。

それにしても、川村。遠いけど、とんでもなく豊かな建物。

常設展もすさまじいラインアップ。居心地よし。