わざわざバガボンドを一巻から最新刊まで
漫画喫茶で一気読みして駆けつけた。そのかいあり。
宮本武蔵、その最後の日に何を見たのか?
その漫画。
美術館で歩きながら、空間を感じながら、漫画を読む。
コントロールされた身体サイズの空白。景色。時間。
一定の歩みで流れていくコマの動き、巨大な絵姿。
裁断された小空間。セリフの行き来。
何もかもがベタなのかもしれない。でも、それでいいのかも。
もう分かりやすく、そして深く感動。
物事を分かりにくく、ひねりあげ、間違いがないように、
深く深く沈むことができるように作り上げる力も
凄いとは思うが、ならば、普通にエンターテインメントを
語らない方がいい。もう一対一の勝負だ、それは。
たくさんの客がそれを楽しむことなど、早いこと放棄した方がいい。
そこと勝負し続ける、客がいることを意識し続ける、
ショービズに居続けることのきつさや美しさが昇華した
本当に見事な美術展だった。
泣けるもの。
筆遣いとかすさまじい。何かを表現するためだけに磨かれた
技術だからだろう。伝えるために線が徹底して引かれる。
刷毛で墨がこすられ、のばされ、散らされる。
美ということだけでなく、楽しませる、人の人生に作用する、
そのために使われる筆運びは、心ににょきにょきと
入り込み、ねじあがり、すいこまれていく。
いやいや、どうしたら、こんな線に進化したのだろう。
継続や数というのは、重要なのだなあと反復による
人の能力の格段の進歩を知って、たのもしく、うらやましい。
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