2008年6月27日金曜日

日常の劇場「て/ハイバイ」@駅前劇場

人の好みなのだろうけど、日常の中に潜む

劇場感ばかりを駆り立てようとすると

どうしても、本当の日常の強度に勝たないなあと

そんなことを思う。そんな舞台だった。

どんなに日常を装って、日常に近づこうとすればするほど

遠ざかっているけれど、そんなものばかりが

評価を集めて、世の中に認められていくのは

どうなんだろうか?もっともっと劇的でわざとらしく

大仰に世間をだまして欲しいもんだ。

その勇気とかその気概とか、もうすっかり

失われた時代に生きているってことなんだろうか?

葬式に集まった家族に潜む、人間関係のゆがみ。

距離感、隔絶感、遠慮、嫌悪。

そんなもの、日常の方が圧倒的に切羽詰まる。

空気を再現したところで、再現の強度は低く、

木っ端みじんにくだけ散る。おとなしくないもので

気が狂っているだけではない、完全なる娯楽を

舞台で観たい、と思うとなぜか大きな劇場に向かう。

そういうことかと、かなり寂しい。