2009年5月21日木曜日

3つあわさって「椿会展2009」

力になるといいのに・・・と思ってしまう

資生堂ギャラリーの椿会展。あの広さの空間は

決して広くないから、解け合うと面白そうだけど、

そこまで個と個がぶつかりあって、融合している感じも

なかったなあ。ここでしか見れない感じはない。

伊庭靖子、祐成政徳、塩田千春、丸山直文の4人で

trans-figurativeというテーマで新作を発表。

丸山さんのふわっとした色と背景が溶けていく感じは

相変わらずすきなのだけど、中でもstoryという画は

いろいろなモチーフが消えながら立ち上がってくるような

不思議な感覚で、甘ったるいけどコワイという

あまり味わったことのない印象で面白かった。

圧巻だったのは、塩田千春さん。あまりいろいろ見たことない

作家さんだったのだけれど、空間に黒い糸がクモの巣のように

張られて、その真ん中にクラシックなミシンが。

「無意識の不安」と名付けられた作品で、本当に

見ているこっちが、そのミシンの主のメンタルを

心配したくなる感じだった。よく人を見ると、

「ああ、この人はダメだ」って感じることあるけど

その状況が目の前に現れてしまうのだ。

なんかジョジョとかそういう漫画で見たことある

渦巻く不安が線でびやびやと空間いっぱいに。

気分悪くて、最高でした。

押し切る受け流す「五月大歌舞伎」@歌舞伎座

見た演目は次の通り
暫(しばらく)
寿猩々(ことぶきしょうじょう)
手習子(てならいこ)
加賀鳶(かがとび)

まあ、勉強中なのでまるで演目を見たところで

見所とかもよく分からない。正直でたとこ勝負。

「暫」は主役で出てくるのは海老蔵。

もう十分に準備されたところに、いよいよ登場!

という非常においしい話で、まさに花形向きの演目。

なんだか非常にオレ様で、それは歌舞伎をしていても

十分ににじみ出てて、もう鼻につくんだけど、

それでも見入ってしまうキャラの濃さ。声のよさ。

なんか動くだけで空気が振動するスゴさ。

何が悪いと、力で押し切る美しさ。

あとは、バカみたいにデカイ衣装で十分に邪魔なんだけど

それを着るに値する主役なんだ!ってことを

みんなが認識するには非常に有用な装置で

時に常識をはるかに越えちゃうことも大事なことなんだと

小さくまとまる自分を反省する。

「加賀鳶」は悪党の話なんだけど、菊五郎という人が

主役をやっていて、まあ、のらりくらりと超脱力なんだけど

心がふととらわれて、なんなんだ?この人と思ったら、

名人なんだそうだ。すごく上手な人らしい。

もうね、ひろいのに、まるで気張らない。

ちょっと言っちゃおうかな、みたいにぽろっと言葉を

発したりするんだけど、それが絶妙なのね。

客に力を受け流して、全部力に変える合気道みたいな

歌舞伎だった。最後のだんまりというらしいんだが

暗闇コントみたいなところは、残像が見えたもんなあ、

ゆっくりすぎて。

この2つの主役の違いに、大満足でした。

寿猩々(ことぶきしょうじょう)
手習子(てならいこ)

この2つを楽しむまでには

まだまだ自分の目は肥えていないのでした。

たくさん見て、心にふれるようになるといいなあ。

みどころを松竹のHPから転載。

一、歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)
鶴ヶ岡八幡宮に、清原武衡(左團次)が鹿島入道震斎(翫雀)、
那須九郎妹照葉(扇雀)を始め、
大勢の家臣(市蔵・亀蔵・男女蔵・亀三郎)たちを引き連れて現れます。
そこへ加茂次郎(友右衛門)が、桂の前(門之助)や
宝木蔵人(家橘)、局常盤木(右之助)のほか、
自らの兄弟(亀寿・萬太郎)たちと参詣にやって来ます。
すると武衡は加茂次郎の咎を責め、
成田五郎(権十郎)に首を刎ねるよう命じます。
 その時「しばらく」と声がかかり、
鎌倉権五郎(海老蔵)が駆け付けます。
やがて武衡の悪事を暴いた権五郎は、
紛失していた宝物も小金丸(巳之助)の働きによって取り戻し、
意気揚々と引き上げていくのでした。
荒事の魅力溢れる舞台をお楽しみ下さい。

二、寿猩々(ことぶきしょうじょう)
酒を好物とする猩々(富十郎)が、
親孝行な酒売り(魁春)のもとに現れ、
今日も酒を所望します。
そして酒に酔う猩々は、嬉しそうに舞い始めます。
能をもとにした作品で、重厚な色合いの義太夫舞踊です。

手習子(てならいこ)
春の野辺に、手習いから戻って来たお駒(芝翫)が通りかかり、
いろは歌に合わせて可憐に踊っていきます。
長唄ならではの華やかさ溢れる舞踊です。
対照的な舞踊を続いて上演します。

三、盲長屋梅加賀鳶 加賀鳶(かがとび)
加賀鳶と定火消しの間で喧嘩が起り、
日蔭町の松蔵(梅玉)を始め、雷五郎次(左團次)、
春木町巳之助(三津五郎)、御神輿弥太郎(團蔵)、魁勇次(松緑)、
昼ッ子尾之吉(菊之助)、虎屋竹五郎(海老蔵)が勢揃いしますが、
天神町の梅吉(菊五郎)がこれを止めて事なきを得ます。
一方、悪党の竹垣道玄(菊五郎)は、
女房のおせつ(東蔵)とその連れ子のお朝(梅枝)を、
按摩仲間のお兼(時蔵)と共に虐げていますが、
お朝が伊勢屋の主人から小遣いを貰ったことを聞き、
ある悪巧みを考え付きます。
そして道玄はお兼と一緒に伊勢屋与兵衛(彦三郎)を
強請りに出かけますが…。
河竹黙阿弥が五世尾上菊五郎のために
書き下ろした世話物の名作をお楽しみ下さい。