「断面の世代」っていうのは、束芋さんの造語で
まさに1970年代、自分の含まれる年代のことを
指しているらしい。当然、「団塊の世代」とも関係してくる。
本人によれば、以下のような感じ。
団塊の世代の方々は、
太巻きの中の玉子焼きやかんぴょうといった、
それぞれが具の1個1個なんです。
私たちの世代も、同じ目標として太巻きになることを
目指しているのですが、個人としてはすべての要素を持っている
太巻きを切り分けたときにできる断面のようなもの。
一応全て持ち合わせているので何でもできるって
思い込んでいるんだけど、よく自分自身を見てみると
薄っぺらい二次元の断面でしかない。
集まればいちおうは三次元の太巻きになれるんだけど、
それぞれがいろんな形、色々な大きさをしているから、
いびつな太巻きになるかもしれない。
逆に団塊の世代は、それぞれが玉子焼きだったり
かんぴょうだったりキュウリだったりして個性的だから、
てんでバラバラになりかねない。
だけど、その多様な具をまとめる米だとか海苔だとかっていう
リーダー的な存在がいれば、ひとつの太巻きになれる、
みたいなイメージです
※横浜美術館/国立国際美術館『束芋:断面の世代』より引用
横浜美術館の吹き抜け全体を使って、団地の様子が映し出されていて
入った瞬間に居心地が悪くざわざわする。
本当にこの人の作品は、触感がある。抵抗感。
神経症みたいな筆致がもぞもぞと動いて絶望的な世界に
移り変わっていくアニメーションは、本当に暗く美しい。
確かにキレイだ。
ワンルームがきたなく汚れ、タンスから無数のゴミが散り、
血が流れ、人の身体がバラバラになろうとも、
世界は必ず美しさを持って立ち現れる。不思議。
骨が水面から顔を出すと、花を咲かせるやつとか
女の髪でいっぱいになったスクリーンをかき分けると
そこに日常の渋滞する交差点があったりとか
キレイに整わない日常の中に確かに「生」があるのは
みごたえたっぷり。
それにしても、この人のキャリアは本当にすごい。
うらやましいほどの、前人未到。あやかりたい。
長野に住んでいるあたりも、いけてる。
2010年4月6日火曜日
本気でパンクで懐深い「歌舞伎座さよなら公演 十二月大歌舞伎」@歌舞伎座
番組は下記な感じ。まあ、すごいすごい。
出てくる人、出てくる人、半端な方がひとりもいない。
さすが、さよなら公演。ちゃんと全力だなあ。
時代的にも古いのから、最新まで取り揃えて、
歌舞伎がいかに幅広い歴史からエキスを吸って
生き延びているかを肌で感じさせてくれた演目だった。
一、操り三番叟(あやつりさんばそう)
三番叟 勘太郎
後見 松 也
千歳 鶴 松
翁 獅 童
サイレントコメディなうえに、まあ身体がよく動く。
関節とかグニャグニャパキパキと漫画のよう。
操り人形を演じるんだけど、パントマイムとかなくても
自前でこういう文化があるのって面白い。
操り人形のパントマイムやってみたら、よくない?って
思いつくあたりがすさまじい雑食性。
今回は、席がステージに近かったので、
脚にかかる加重とか床をつかむ指とか感じることができて
歌舞伎の身体性を改めて確認できた。
二、新版歌祭文
野崎村(のざきむら)
お光 福 助
お染 孝太郎
後家お常 秀 調
久作 彌十郎
久松 橋之助
よくできたワイドショー話で、農家の娘が好きな男と
一緒になれるとウキウキしていると、都会から超かわいい
姫がその男を追ってやってきちゃうという。
その農家の娘のきゃぴきゃぴした感じとかが
異常に偏見たっぷりにバカにしてて面白い。
うまかったなあ、ほんと、この日の役者さん。
セットもぐるぐる回って、最後なんか家の裏の
川の土手に変身して船に乗って去っていくという
スペクタクル。アイディア、アイディア、
驚くことならなんでもやってやろうという精神が
素晴らしい。
三、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん )
山蔭右京 勘三郎
太郎冠者 染五郎
侍女千枝 巳之助
侍女小枝 新 悟
奥方玉の井 三津五郎
こっちはコント。勘三郎ってほんと面白い。
声がそもそも面白いのと、リズムがくだらない。
なんかいちいちふざけているんだと思うんだけど、
ムダなことを加えて加えて、そこに溺れる面白さ。
でも、嫌みじゃないあたりが名優なんだろうなあ。
浮気して帰ってくる当たりの、喜ぶ男のダメな感じとか
もうジャストミートな様子で、楽しい。
四、大江戸りびんぐでっど(おおえどりびんぐでっど)
半助 染五郎
お葉 七之助
大工の辰 勘太郎
根岸肥前守 彌十郎
遣手お菊 萬次郎
丁兵衛 市 蔵
与兵衛 亀 蔵
佐平次 井之上隆志
紙屑屋久六 猿 弥
和尚実は死神 獅 童
石坂段右衛門 橋之助
女郎お染 扇 雀
女郎喜瀬川 福 助
四十郎 三津五郎
新吉 勘三郎
宮藤官九郎が書いた新作。江戸にゾンビが現れる。
というとんでもない話。しかもクサヤの汁を浴びると。
いやあ、歌舞伎書いても、まったくぶれないあたりが
需要と供給だなあ、発注する方もしやすいなあと思う。
上がりが思った通りになるなんて安心だもの。
そして、もう話も何もかもめちゃくちゃだけど
しっかり歌舞伎にしていく役者陣のものすごい
懐の深さ。伝統芸能の中でも足腰の強さ。
旬なものを食べて吐き出さずに自分自身を変容させつつ
自分の栄養にしてしまう。
ものすごいアレルギー反応はあっただろうからなあ。
ほとんどが特殊メイクをした(ゾンビメイク…)歌舞伎って
いやあ、いいものを見た。
とりあえず、出来というよりもスタンスに圧倒です。
歌舞伎というものの。
なんでも壊してみなきゃ分からないよねえ、
いけるかいけないかも。
出てくる人、出てくる人、半端な方がひとりもいない。
さすが、さよなら公演。ちゃんと全力だなあ。
時代的にも古いのから、最新まで取り揃えて、
歌舞伎がいかに幅広い歴史からエキスを吸って
生き延びているかを肌で感じさせてくれた演目だった。
一、操り三番叟(あやつりさんばそう)
三番叟 勘太郎
後見 松 也
千歳 鶴 松
翁 獅 童
サイレントコメディなうえに、まあ身体がよく動く。
関節とかグニャグニャパキパキと漫画のよう。
操り人形を演じるんだけど、パントマイムとかなくても
自前でこういう文化があるのって面白い。
操り人形のパントマイムやってみたら、よくない?って
思いつくあたりがすさまじい雑食性。
今回は、席がステージに近かったので、
脚にかかる加重とか床をつかむ指とか感じることができて
歌舞伎の身体性を改めて確認できた。
二、新版歌祭文
野崎村(のざきむら)
お光 福 助
お染 孝太郎
後家お常 秀 調
久作 彌十郎
久松 橋之助
よくできたワイドショー話で、農家の娘が好きな男と
一緒になれるとウキウキしていると、都会から超かわいい
姫がその男を追ってやってきちゃうという。
その農家の娘のきゃぴきゃぴした感じとかが
異常に偏見たっぷりにバカにしてて面白い。
うまかったなあ、ほんと、この日の役者さん。
セットもぐるぐる回って、最後なんか家の裏の
川の土手に変身して船に乗って去っていくという
スペクタクル。アイディア、アイディア、
驚くことならなんでもやってやろうという精神が
素晴らしい。
三、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん )
山蔭右京 勘三郎
太郎冠者 染五郎
侍女千枝 巳之助
侍女小枝 新 悟
奥方玉の井 三津五郎
こっちはコント。勘三郎ってほんと面白い。
声がそもそも面白いのと、リズムがくだらない。
なんかいちいちふざけているんだと思うんだけど、
ムダなことを加えて加えて、そこに溺れる面白さ。
でも、嫌みじゃないあたりが名優なんだろうなあ。
浮気して帰ってくる当たりの、喜ぶ男のダメな感じとか
もうジャストミートな様子で、楽しい。
四、大江戸りびんぐでっど(おおえどりびんぐでっど)
半助 染五郎
お葉 七之助
大工の辰 勘太郎
根岸肥前守 彌十郎
遣手お菊 萬次郎
丁兵衛 市 蔵
与兵衛 亀 蔵
佐平次 井之上隆志
紙屑屋久六 猿 弥
和尚実は死神 獅 童
石坂段右衛門 橋之助
女郎お染 扇 雀
女郎喜瀬川 福 助
四十郎 三津五郎
新吉 勘三郎
宮藤官九郎が書いた新作。江戸にゾンビが現れる。
というとんでもない話。しかもクサヤの汁を浴びると。
いやあ、歌舞伎書いても、まったくぶれないあたりが
需要と供給だなあ、発注する方もしやすいなあと思う。
上がりが思った通りになるなんて安心だもの。
そして、もう話も何もかもめちゃくちゃだけど
しっかり歌舞伎にしていく役者陣のものすごい
懐の深さ。伝統芸能の中でも足腰の強さ。
旬なものを食べて吐き出さずに自分自身を変容させつつ
自分の栄養にしてしまう。
ものすごいアレルギー反応はあっただろうからなあ。
ほとんどが特殊メイクをした(ゾンビメイク…)歌舞伎って
いやあ、いいものを見た。
とりあえず、出来というよりもスタンスに圧倒です。
歌舞伎というものの。
なんでも壊してみなきゃ分からないよねえ、
いけるかいけないかも。
常設だけどさあ「ZED/シルク・ド・ソレイユ」
テントのやつは何回か見てて、その度に結構感動する
シルク・ド・ソレイユ。話に聞くラスベガスのやつは
ものすごそうで、もうそりゃあ羨ましい。「O」とか。
常設ってことで、とっても期待していったんだけど。
ん?ん??
なんか装置がテントのやつとさほどスゴさが変わらない。
こっそり床がいくつも変わったりするようなんだけど、
それってすごいの?噂では、床ごとガンガン動いたりするらしいのに。
アメリカだと。
正直、やっている演目は割とみたことある大道芸なので
演出でみていくものだと思うんだけど、
ワイヤーアクションもブラブラしているだけで
あまり3D的な動きもなく、おとなしめ。
脅かしでいえば、オープニングがピークかなあ。
ステージ全面を覆っていた幕がばーっと美しく消え去る。
ただ、これって、東大でお芝居やってたときに駒場でも見た。
アイディアで想像できないところではないし。
歌もバカウマい感じではなく、音響がいまいちなのか、
心に入ってこない。正直、あれだ、オリエンタルランドは
きっとだまされ気味だなあと思った。たくさんお金払って
セカンドベストが来た感じ。まあ、仕方がない。
観光のセットになっているらしく、席は満員。
グッズもものすごく売れていた。ビジネスとしてはいいのか。
これで。
テーマ設定とかは参考にあるので、下記に。
人生は冒険。そこに、 詩 ( うた ) が生まれる。
彼の名は、Zed(ゼッド)。
彼が旅する世界は、天と地。
そこであらゆる生命と、
大いなる女神と、スフィンクスと…
命の躍動に出会います。
さまざまな経験を重ね、
彼自身が成長すると同時に
彼が生きた天と地という
2つの世界がひとつに結ばれます。
彼の経験と彼が生きた世界のすべてが、
心で感じずにはいられないもの。
この叙情あふれる冒険の旅を通じて誰もが人間の、
人生の経験の本質に迫っていくことができるでしょう。
シルク・ド・ソレイユ。話に聞くラスベガスのやつは
ものすごそうで、もうそりゃあ羨ましい。「O」とか。
常設ってことで、とっても期待していったんだけど。
ん?ん??
なんか装置がテントのやつとさほどスゴさが変わらない。
こっそり床がいくつも変わったりするようなんだけど、
それってすごいの?噂では、床ごとガンガン動いたりするらしいのに。
アメリカだと。
正直、やっている演目は割とみたことある大道芸なので
演出でみていくものだと思うんだけど、
ワイヤーアクションもブラブラしているだけで
あまり3D的な動きもなく、おとなしめ。
脅かしでいえば、オープニングがピークかなあ。
ステージ全面を覆っていた幕がばーっと美しく消え去る。
ただ、これって、東大でお芝居やってたときに駒場でも見た。
アイディアで想像できないところではないし。
歌もバカウマい感じではなく、音響がいまいちなのか、
心に入ってこない。正直、あれだ、オリエンタルランドは
きっとだまされ気味だなあと思った。たくさんお金払って
セカンドベストが来た感じ。まあ、仕方がない。
観光のセットになっているらしく、席は満員。
グッズもものすごく売れていた。ビジネスとしてはいいのか。
これで。
テーマ設定とかは参考にあるので、下記に。
人生は冒険。そこに、 詩 ( うた ) が生まれる。
彼の名は、Zed(ゼッド)。
彼が旅する世界は、天と地。
そこであらゆる生命と、
大いなる女神と、スフィンクスと…
命の躍動に出会います。
さまざまな経験を重ね、
彼自身が成長すると同時に
彼が生きた天と地という
2つの世界がひとつに結ばれます。
彼の経験と彼が生きた世界のすべてが、
心で感じずにはいられないもの。
この叙情あふれる冒険の旅を通じて誰もが人間の、
人生の経験の本質に迫っていくことができるでしょう。
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