2009年1月11日日曜日

贅沢すぎてもたれる「パイパー/NODA MAP」@シアターコクーン

何もかもがそろいすぎてて、もっと飛べるかと思ってたけど

いまいち(もちろん出来はよいんだけど)乗り切らない。

腹にもたれる感じが抜けない時がある。

隙間って大切なんだよなあ。野田さんのお芝居見てて

他の人が作ったものと違って楽しみなのは、

十二分に身体を使わされている役者の底にある人間が

むき出しになる方法がだいぶ独特だからなんだけど

今回はワークショップのアンサンブルの人たちが

その役目を担ってしまい、メインどころは自分たちの

まともな演劇に集中できたために、どうもたががはずれなかった

気がして、残念だった。何百年後の火星の話という突飛な

設定で完全新作のドラマを描き切るのは本当にすごくて、

松たか子もしっかりと心に残る声を出し、

何より宮沢りえがとても素晴らしく、あんなに自在に舞台を

生きる力をいつの間に手に入れたのかと思ったのだけれど、

どうしても心が動かず、不思議だった。全部が計算の範囲内だった。

もう少しステージ数が重なってくると、気持ちが舞台にあふれるのかも。

まだまだオペレーションな感じだったのだろう。SFだけに難しい。

説明がとにかく多いし。

女子が主人公っていうのが原因かもねえと、

同行者が言っていて、なるほどと腑に落ちる。

地球環境、食、様々な現在の問題って意外とステレオタイプなんだなあ。

現在に生きるって、そういうことなんだなあ。

面白かったんですよ、十分。