今までまるで響いたことなかった藤田嗣治が
こんなにもガンガン気持ちに届く強さをもったのは超意外。
たまにこういう興奮があるんだなあ、ドアが開いていく感じ。
ものすごいよかった。なんかフェルメールがかすんだ。
この人、日本だとまるで評価されずにフランスに行って、
3年くらいひたすら古典を模写していたらしい。
それで手に入れたやたらにむにょむにょした筋肉西洋身体に
日本っぽい切れ長すっきりお顔を乗せて、白磁みたいな肌色で仕上げたら
ヨーロッパで大人気。日本人が見てもアンバランスなその裸像が
好きになれなかったんだけど、今回来てた超巨大な「犬のいる構図」「闘争」を
見たら、そこにあふれるパワーがすさまじくて圧倒された。
どこにも属さない人間が持っている、自分の中にある欲望がむき出しに
迫りくるのは、本当にめったにみない。異邦人の強み。
あとは「猫」っていう屏風絵みたいなのがあって、猫がくるくるまるまる
かたまって画面を横切って埋めていくんだけど、そのリズム感とか最高。
日本人なら絶対に気に入る流れ、時の刻み。
時間が画の中にあるのは、本当に日本画とかの強みだなあと思う。
切り取るのではない強み。
その末に国ではなく宗教によりどころを定めてキリスト教に改宗するんだけど
喜びの表れ方もすさまじい。もうエネルギーを細部にペン先に固めていく。
「イブ」「キリスト」「花の洗礼」
はなやかに画面を生命力がみなぎるのとか少し泣ける。
ああ、ここに生きようと悩んで悩んで爆発するんだなあと。
最後の大仕事に教会を建てるんだけど、中も外も、装飾もインテリアも
全部に祈りをこめてモノを作ることが出来る幸せがあったなあ。
よかった。
ほんとうに、見といてよかった。
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