初海老蔵。初新橋演舞場。
歌舞伎ってやっぱり思い切り大衆演劇だよなあと
まるでひねりのないエンターテインメントに
わざと作ってある突っ込みどころ満載な隙に
そして、とことんそれだけに集中してきた人の技に
酔いしれる。
十八番が3つも入ってるゴージャスな演目を
一気に一日で見ちゃおうという回だったのもラッキーだった。
ベタなことをひたすらにひたすらに
人生を賭けて修練させていくことの大変さが
なんとなく透けて見えてグッとくる。
海老蔵、そりゃ大変だよ、この世界を支えることを
宿命に生まれてきちゃうのは。
リアルガラスの仮面。
小屋に響く海老蔵ボイスはなんだかそういう覚悟も乗って
エロく心に刺さる。人を酔わせる。
修練とは別の意味での選ばれた人だけが得る力もある。
勝手に人が寄ってくるのだ、そういうところには。
なんだか、そういう選民な感じが、
今のエンターテインメントにはもっともっと必要だと思う。
普通の人が多すぎる。フリをした人が多すぎる。
にしても、歌舞伎。
思いついた人はやはり天才。
能なんか下敷きにあったって、あんなメタモルフォーゼ、
絶対に到達しない。そういう民衆が熱狂する力が
今の現代演劇にはないから、つらい。
そこが一番大事なのに。
いつからクリエイターのものになってしまったんだろうか?
演劇。
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