2008年7月12日土曜日

わずかだけど「ぐるりのこと。」

間違いなく厳しいことが、誰の人生にも起こるよなあ。

そして、それを乗り越えることに何一つミラクルなんて

起こらずに、ただただ淡々と毎日を越えていくしかない。

辛い現実を、決して劇的でない現実を、ジワジワと描く

そんな作品。

本当に、相手の背中をそっと触ることが、人生を動かす

微力な力になることを、そんなことを、

映画の中で知るような気がする。

まあ、そんなシーンはないんだけど。

大逆転とか一気に畳み掛けるように何かが起こるとか

ないない、そんなことないない。

そうなんだ、ないんだ、何も起こらないから、

今日も続いていってしまうんだ。

木村多江とリリー・フランキーって、絶妙の華加減。

あれ以上、どうだ!選ばれし人だぞ!ってオーラが出てもダメ、

かといって、全く素人でも難しい。絶妙さだった。

今なら泣ける「夕/東京セレソンDX」@シアターサンモール

懐かしい感じがして、なんだろうと考えたら

これは、間違いなくキャラメルボックスのそれだった。

筋書きのあるドラマ。意外性よりもベタ。まっすぐに青春。

だいぶ前にキャラメルボックスをみて

どうしようなくうんざりしてしまい、かっこ悪いと感じた日から

もう十年近くが経っていて、今回、この東京セレソンを見たら、

まあ、泣ける。泣ける。

そして、泣けるとか笑えるということが

どんなにか大切なことなのかが身にしみて今さらながらに分かる。

満員の客席だもの。

やっぱりせっかく見るなら、何か心を動かされたいんだろう。

美よりも心。アートよりハート。

読み取れ、感じろ、という舞台もあれば、

優しく手を差し伸べてくれる舞台もある。

そんなことをひしひしと感じてしまった。

疲れた毎日には、懇切丁寧なリフレッシュが必要だ。

あのころ、キャラメルボックスで泣けなかったのに

今やセレソンDXで泣ける。やっぱり大きく何か変わったのだろう。

にしても、やっぱりまだまだベタは肩身狭いんだろうなあ。

演劇さんの中では・・・。

しっかりとこういうの認められる懐があればいいのに。