2008年4月14日月曜日

同じモノでも違う世界「解きほぐすとき」@MOT

「解きほぐすとき」をテーマに、
事物をばらばらに解体し、解きほぐすことで
自分なりに世界の輪郭を捉えようとする
5人の作家を紹介します。

ということで集められたのが、この方々。
金氏徹平、高橋万里子、立花文穂、手塚愛子、彦坂敏昭

中でも気に入ったのは、この2人。


金氏徹平

コーヒーのしみを集めて重ねて

オブジェにしていくやつが

なんだか、元に戻っていく様子に

キモチがフッとした。

いろんな形になるけれど

最終的になんだか非常に

木材な深い色合いになっていて

原点に戻る感じがいいなあと思った。

草木染とかもそうだけれど

自然の染料にある、あの深みは

一体なんなのだろう?

肌に戻ってくる、カラダに戻ってくる感覚が

刺さってくる。



手塚愛子

じゅうたんの縦糸だけを途中から取り出すと

フシギな世界が出来上がる。

編むという行為を逆転させて

現れる世界の景色は

なんだか、半分だけ人の手で出来ているけれど

もう半分は自然にゆだねられているようで

その余白が、妙に気になる。

色の重なりが、ちょっと絵画とは違う

マテリアルならではのものがあって

実際に形のあるものが生み出すイメージを

重ねていくことで、ちょっと違った感覚まで

生まれるもんだなあと感心した。

場のストーリー「川俣正/通路」@MOT

今回の展覧会にあたり、
新しいプロジェクトとして実施されるのは、
美術館を"通路"にすることです。
"通路"は場所と場所との中間領域や敷居、あるいは迂回路でもあり、
接触領域(コンタクトゾーン)でもあります。
通常は「貯蔵庫」「展示」といった機能が前面に出される美術館を、
人々が行き交う"通路"としてみなすことで
どのようにその空間や機能を変容させるのでしょうか?

こんな試みで、アートが世界との接し方を

様々に見せてくれる、はずなんだけど。

なんだろう?

そこには、本当に何もなくて驚いた。からっぽ。

常設展の中でやるべきネタじゃなかったのかなあ。

美術館が本当のハコでしかない瞬間って

美術に関わっていない人しか見ないもの。

それって美術館の機能じゃないでしょ。

作品との出会い方とか飾られ方とかに場の決まりがあって

そこに新しく通路を作れば、全然、違ったと思うけど。

空っぽで何もないとこ、ふらふら歩いても

結局なんでもない。本当に景色もなにもない散歩。

自分と向き合うしかない。中で継続的に進んでいる企画が

またひどい。なんか適当。場を埋める機能もない。

ちゃんと作り上げることを放棄した場がだらだらと続く。

悲惨だ。

過去の様々なプロジェクトでうまくいっているのは

やはり、しっかりとした場のストーリーがある場所に

何かをぶつけることができている時だと思えた。

もっと歴史のある、やっかいな美術館でできたら

本当に革命的だと思うけど。

現代美術に親和性のあるハコだと、なんの面白さもない。