正しく生きることと豊かに生きることが
必ずしも一致しないこの現代を膨大な取材から
あぶり出して、小説に仕立て上げる。
その作業は絶望的に夢なんてなかったりする
会社内の権力闘争の様を浮き彫りにしていく。
自分の信じる道を進めば進むほど
仕事の環境は厳しくなり、閑職においやられ
家族とは離ればなれになり、手の中には何も残らない。
本当に切ない。
海外赴任先から日本に戻る奥さんを見送るシーンが
あるんだけど、すごい雨の中、自分の背中がビショビショに
なって、子供を飛行機のタラップまでぬれないようにする姿を
見て、思わず名前を呼ぶのだけれど、雨が強くて奥さんには
聞こえないのね。
もう、声でないわ。切なくて。
正しいことしてんのに。
いい人、ちゃんとした人間関係はすべて手元に残るけれど
それを豊かな人生の作物だと言い切るには
あまりにも恵まれなさすぎて、現実的にすぎて、つらい。
一巻から五巻まで一気読み。
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