2009年4月21日火曜日

全感覚を使え!「万華鏡の視覚」@森美術館

ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより。

ハプスブルク家のプライベートコンテンポラリーアート発注もの。

持つものと持たざるものをリアルに感じる展覧会の景色。

こんなもの、家に持ってこられても困るサイズ、スケール。

ちょっと壁に掛けられるようなものはまるでなく、

いちいち身体全身サイズ。そして落ち着く類のものはなく、

感覚を全部解放して、毛穴からすら入ってくる刺激を

とにかく取り込む感じの展示。いやあ、「美」というよりは、

本当に「刺激物」の印象の強い品物がずらり。

ケリス・ウィン・エヴァンスの蛍光灯柱とか直視できないくらい

ギラギラと身体に悪そうな光を放っているし、

カールステン・フラーの「Y」という作品とかは

自分の身体のまわりを白熱灯がぐるぐるまわってて

その様子を鏡でみたりすると、どこかに吸い込まれているような

妙な浮遊感を味わえる。

ロス・カルピンテロスの壁が砕け散る瞬間を、

実際のブロックで再現すたやつなんかは、

時間が止まった瞬間を自分が動ける状態で感じることの

違和感をいやおうなく押し付けてくる。

イエッペ・ハインの映す物体とかは、ジム・ランビーの

クラクラする文様と自分自身の姿が球形の中に閉じ込められる

お得なような感覚も。

マシュー・リッチーっていう人の色使いとか素材感とか

空間への絵の張り出し方とかが好きだった。あまり触れたことの無い人。

グオ・フェンイーっていう人の描いた絵は

執念の赤ボールペン画。もうひたすら線をひきまくる向こう側の世界。

彼に何が見えていたのか気になる。

図録ではまるでダメな、行かないと不可能な体験ばかりで

美術館冥利につきると思った。

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