2008年10月2日木曜日

意味に縛られる「アサット・メサジェ/性と俗の使者たち」@森美術館

女性がアーティストとして生きることが難しかった時代に

女性らしさを武器に勝ち上がったかのような印象だったけれど

観たら、逆に、なんとか男社会に食い込むべく、

徹底的に意味に縛られていて、全然軽やかなんかじゃなく

(説明だと軽やかに様々な境界を超えるみたいに言ってたんだけど)

むしろ、重く飛び立てない悲しい感じの満ちた展覧会だった。

日本のガーリーなものってやっぱり、軽やかさっていう意味では

まるで現れたことのない新種なんだなあ。

ひとりだちすることを強要されない社会って

(しなくても死なないという意味で)

不思議な奇形を生むよなあ、日本。

もうダントツ、カジノっていう作品が素晴らしくて

赤い布が奥の方からゆらゆらと流れてくる様は

本当に血液のごとく紅蓮さで、しかもドロついていて、

自分の中に流れる邪悪なものに包まれてる感じだった。

あとは、黒いシミというやつ。

狭い部屋に黒い羽がふわふわふわふわ漂う。

落ち居着くことなくふわふわふわふわ。

「邪」な感じがまっすぐに感じられる作品に

惹かれたのは、この人の本質が人をまともに観ないことに

あるからじゃないかしらと思った。

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