2009年4月4日土曜日

みんなが自分の人生を「孤宿の人/宮部みゆき」

大きな渦に巻き込まれながらも、

結局は自分の身の回りですべてが進み、

見える範囲の人たちに助けられ、

本人も分からないうちに少しづつ大きくなっていく。

そんなことを感じられる本だった。

実際に起こっていることとは全く違う次元で

人間の成長って起こっているのね。

江戸時代の話で、江戸から偉い人が流されてくると

いう設定で話がはじまるんだけど、

なるほどなあと思ったのは、悪いことが起こったときに

何かひとつ原因があると、もう何もかもがひとつの原因に

結びついていくということ。

江戸の罪人が、厄を運んできた、あいつは鬼だみたいな

噂が流れて、たまたま起こるいろんな災難がすべて

そのお偉いさんのせいになる。

でも、よく考えてみると、そんなことないんだよなあ。

悪いことって前からあったし、たまたま重なっても

次には実は毎回、新しい時間が流れるわけだし。

そんな負の連鎖の中でも、人が前に向かって変わっていき、

新鮮な人間関係が生まれていくという面白さがあった。

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