2009年5月29日金曜日

埋め合わせるもの「青山娼館/小池真理子」

高級とはいえ、身体を売る商売には変わらない。

でも、それで埋められるキモチをいうものもあると

きっと描きたくて、この小説は書かれたと思う。

思うんだけど、なんか悲劇を背負ってないと、

その商売にいかないという時代じゃないのが

どうにもひっかかる。肌を、身体を開くことで

満たされることがあるのは分かる。

でも、そんなに重たい重たい話ばかりではないのも

事実で、登場人物がいちいち深い悲しみを

背負っているから、この商売に身を賭してよいのだ

みたいな変なステレオタイプが、心にグサッと

入ってこなかったのが残念だ。

中で書かれている、金持ちたちの異常セックス描写が

本当にふるっていて、究極はもはや性器と性器の

ふれあいは遠く先のもので、それなしでいかに

感じきるかみたいなチャレンジになっていくのだなあと

妙な納得をしてしまった。

バスローブ着せて、そのまま風呂入らせて、

そこにバラを次々に投げ込んで、

裸を見えなくして(というか裸も見えてないんだけど)

それをみながらオナニーするという、どんな世界だ?

いったいぜんたい。

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