10年前の4月10日
あのときはこんなことを書いていたのだ。
2001/04/10
河原の魔力
河原には魔力がある。
特に都会の川の河原には魔力がある。
その空間の裂け具合とかがぼくは好きだ。
立ち並ぶ住宅やビルの並びを切り裂いて進む
河原にあるサイクリングの道をゆく。
その上に広がる空にわずかな青さを感じる。
灰色の中にある青。
でも、もっとすごいのは夜だ。
夜には河原だけが黒く沈んでいる。
星だけがスキマに降る感じになっている。
そこには一瞬だけの世界がある。
河原の道を何も考えずにガーッといくと、
くさい言い方をすれば、
都会の光の中に走る道を脇目もふらずに
駆け抜ける感じに思えるのだ。
吸い込まれていくのは、
消えていく感覚に近い。
でも、この感覚を味わうことができる瞬間は
ごくわずかだ。
その条件は厳しい。
夜。
しかも寒くもなく暑くもない季節。
天気は晴れ。
そんな夜にだけはじめて、その空間が現れる。
あの河原に現れる。
河原には魔力がある。
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