2009年10月6日火曜日

気持ちは残る「コクーン歌舞伎/桜姫」@シアターコクーン

システムとしては理解しているんだけど

死んだ人の怨霊が…という考え方が、能やら歌舞伎やらには

しっかりあって、この世の中はそういったものがあるから

とってもエモーショナルな感動的な、ある意味恐怖なことが

起こって面白いという、ことなのかな?

身体の感覚として、ああ、そうだなあ、それは

こわくて、かつ面白いなあなんて気付いたことはなかったんだけど

今回、現代版と歌舞伎の桜姫を見て、なんだか一番考えたのは

そこだった。人が消えるということの不可思議を、生きている

人間の気持ちとうまく結びつけて進んでいくお話は、

あの世とこの世のつながりをイメージしないと何の深まりも

見せない嘘っぱちなものになってしまうけれど、

愛し合う中で身を投げたり、生き残ってしまったり、

それを悔いてみたり、喜んでみたり、非難してみたり、

結局、どうしようもない戻ることのできない時間の中で

感情が右往左往するのはたまらなく面白いなあと感じた。

現代版の方を見ただけだと思わなかったんだけど、

オリジナルの歌舞伎の方とあいまったときに

しみじみと考えさせられた。あとは、そういう世界を失っている

今っていう世界ってどうなのだろう?とか。

気持ちは逆にどんどん薄っぺらになっているのかも

しれないなあとふと思ってしまった。

それにしても、歌舞伎役者さんって、やっぱり上手い。

アドリブに近づいていけばいくほど、場数が違うからか、

型があるからか分からないけれど、妙に場にしっくりと

生きながらえる。なんか小笑いとかが異常にうまくはまる。

あの技はなんだ?あれ。

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