2010年4月21日水曜日

ワンテーマ美術大横断「医学と芸術@森美術館」

うむむ、醍醐味だ。企画した人、気持ちいいだろうなあ。

「生命(いのち)と愛の未来を探る」というテーマで

古今東西のありとあらゆる生命に関するものが大集合。

薬のメーカーとして始まったウエルカム財団っていうところが

集めた様々な医学の進歩を示すものたちに、アートがからんでいく。

医学備品みたいなものが、まあいちいち面白い。

美しいかといえば微妙だけど、最先端の頭脳を使って

考えられた様々なものは、ある意味考え過ぎちゃっててグッとくる。

義足、義手は造形の極みだし(HONDAの最先端義足まで展示)

貞操帯なんかも徹底して操作性/装着性を考えた丸みがよい。

超巨大なふいごが人工呼吸器の役割を果たす(棺桶的ですらある)

こととか気づいた人はすごいと思うし。

ダヴィンチの肺とか心臓のデッサン、本当にすさまじい細密さで、

線にブレがなく、まっすぐと走っていくのは本物ならではの迫力。

わざわざイギリスの王室コレクションから上陸。

抜けると、骸骨が波をバックにたたずむ

円山応挙「波上白骨座禅図」が。やりたい放題。頭使わせる感じ。

手術は見せ物だった時代、シアターのような場所で解剖する様子を

描いた画がずらりと並んだのを見たあとに、

狩野一信「五百羅漢図 第59幅 神通」があり日本の神通力的な

ぼんやりした医学力を感じ、その先には、

デミアン・ハーストが妻の出産シーンを超リアルに描いた絵画が。

なんか血とか見えなくなったけど、その景色を写真とみまごうばかりの

絵画で見るという、考えちゃう人にはウハウハなコンセプト。

売れるわ、ハースト。あと、この人って普通に画が超うまい。

ジル・バルビエ「老人ホーム」というくだらないコントみたいな作品も。

歩行器使用のスーパーマン、立てないバッドマン、ぼけてガリガリの超人ハルク。

やりきることって大事なんだな。

老人の皮膚を持った、子どもがゲームボーイで遊んでいたりもする。

部屋の片隅で。パトリシア・ピッチニーニ作品。

すさまじい企画だなあと思ったのは、死の直前の顔と死の直後の顔を

写真で撮って並べた作品。ヴァルター・シェルスのもの。

死を悟った人たちのやわらかな表情と、そのつながりの中で感じる

死んだあとのやすらかな表情。生と死、その時間は切れているのか?

で、DNAの発見した人のなんとなくひらめいちゃったぞというメモも展示。

どうして、らせんだ!なんて思ったのか?本当にすごいことだ。

人間の飽くなき欲求は。果てしない。

ひたすらに頭を回転させて見る感じ。エクササイズとしてはよかった。

けど、これは美しいのか?

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