精神科医が殺人を犯したであろう女の気持ちの中に
どんどん潜っていく。女は多重人格でことあるたびに
あらゆる人格になって立ち上がるのだけれど、
まあ、いちいちドロドロと粘りつく。愛情と憎悪がからむ。
シーンは能やら源氏物語やら現在やらを次々にジャンプして
一見複雑だけど、そのおかげで女の気持ちがなにも
今という時代に特殊なことじゃない、
普遍的な強い気持ちなんだと思わせてくれる。
単純な流行とは違う、もっと人間なら誰でも
もってきたんだなあ、独占欲とこわくなる。
「ひとりの気持ちを自分のものにしたい」という
正妻と愛人の想いのやりとりが4人も子どもを
葬り去り、しかも、それが確実にひとりの人格を
壊しきるというリアル。
深く潜っていけばいくほど、見てはならないけれど
みなくてはならない、人の愛情の深淵がひろがって
気持ちにどーんともたれかかる。
何してもいいやという正義は
法律での正妻に認められているのか?
だけれども、その正義によって
自分の気持ちを持ち崩し、壊れていくその人自身の
かなしみとかわびしさ。
うーむ、深い。ダイバーだけに。
新しい生命とか、連綿と続いていく命とか
そういう人類が持つ生命力みたいなもので終わり
一見、救いありそうだけど、そんなこともないだろう。
人が壊れる恐怖を見事に大竹しのぶが演じきる。
0 件のコメント:
コメントを投稿